旧柳川家住宅・同前蔵 (国指定重要文化財)(昭和44年3月指定)

旧所在地 和歌山県海南市黒江

母屋(1棟) 居室部 桁行10.6m 梁間7.9m 二階建 切妻造 西面及び東面庇付 本瓦葺
       座敷部 桁行9.8m  梁間4.9m 入母屋造段違  北面庇付 桟瓦葺 西面居室部に接続

前蔵(1棟) 土蔵造 桁行10.6m 梁間5.9m 二階建 切妻造 本瓦葺


 柳川家は、海南市黒江で江戸時代以来、当代まで代々平兵衛を名乗り、紀州漆器の製造・販売を家業としました。
 家蔵の記録によれば、文化4年(1807)四代目平兵衛の代に屋敷地を求め、普請したのがこの建物です。この家は、もと黒江の中心部を流れる人工の堀川のあった「川端通り」に面して建てられ、敷地の西側は入江に面し、船着き場になっていたといわれます。


 

 立派な主屋は、正面向って左側の大戸口から裏に通り庭があり、その右手に田の字型に四室を造り、正面側が商いの空間である「みせ」と「みせおく」、背面側が生活空間である「だいどころ」と「なんど」になっています。
 また、その後ろに仏間と座敷部分を突出させ、通り庭の後ろに井戸と風呂・便所屋を設けるなど、紀北地域の町家として標準的な間取りをもっています。中庭の奥には、漆喰壁・二階建ての前蔵があります。


    

 この建物は全体に保存状態がよく、材料もよく吟味され、意匠にも優れており、和歌山県を代表する町家建築の遺構として重要なものです。
 和歌山県では、貴重なこの住宅建築を所有者より譲り受け、昭和44年度に黒江から園内に移築し、復原修理を行ないました。


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