「いぬはりこ(犬張り子)」(江戸時代の張子)
いぬはりこは、顔は幼児、身体は伏せた犬の姿に作られた紙製の小物入れです。
左右で雌雄に別れており、向かって右が雄、左が雌だと考えられ、雄には魔除けの札、雌には白粉を納めました。
いぬはりこ(雌) いぬはりこ(一対) いぬはりこ(雄)
犬は安産・多産で子どもが丈夫に育つということから産室に飾られ、のちに幼児の魔除けと考えられるようになり、雛道具の一つに加えられるようになりました。
この資料は、木製の箱に2点の犬型の紙製の小物入れが納められ、蓋の表面には「いぬはりこ」、裏面には「文化十一年/戌三月吉日」と墨で記されています。
本資料は、この箱書から文化11年(1814)には存在していたと考えられます。
この犬張り子は、紀伊風土記の丘所蔵「松島コレクション」の一つです。
松島コレクションは、戦前の和歌山における郷土玩具愛好運動のリーダーであった松島藤太郎氏が収集した郷土玩具です。
松島の収集対象は国内に止まらず、中国や台湾、ミクロネシアにまで及びました(残念ながら大半は戦災で喪失)。