4月の花


ヤマザクラ(古名 さくら)

 春雨に 争ひかねて わが屋前(やど)

 桜の花は 咲き始(そ)めにけり  (作者不詳 万葉集巻10-1869)

 山地に生えたり、公園や庭園に植えられたりします。落葉高木のバラ科の植物です。春には、新しい葉と同時に淡紅白色の美しい花を咲かせます。ソメイヨシノとよく似ていますが、花のときに葉が伸び,葉や花の各部に毛がありません。


 モモ(古名 もも)

 春の苑(その) 紅(くれない)にほふ 桃の花

 下照る道に 出で立つ少女(をとめ)   (大伴家持 万葉集巻19-4139)

 中国原産の落葉低木、または小形の高木で、バラ科の植物です。鑑賞用または果樹として広く栽培されています。春には、葉より先に花を開きますが、花は、紅色、白色、八重咲きなど多くの品種があります。果実は、夏に熟し大変おいしく食べられます。


 スモモ(古名 すもも)

 

 わが園の 李(すもも)の花か 庭に降る

 はだれのいまだ 残りたるかも  (大伴家持 万葉集巻19-4140)

 中国原産の落葉高木で、古くから日本へ渡ってきたバラ科の植物です。現在は,広く果樹として栽培されています。春には,白色の花を開きます。果実は、赤紫色または黄色に熟し、酸味はあるが食用にできます。スモモの名は、「すっぱいモモ」から付けられました。


ニワトコ(古名 やまたづ)

君が行き 日長くなりぬ 山たづの

迎へを往かむ 待ちには待たじ 衣通王 (そとほりのおほきみ 万葉集巻2-90

  各地の山地に見られるスイカズラ科の落葉低木です。春には、小枝の先に多数の細かい緑がかった白色の花をつけます。果実は球形または楕円形で赤色に熟します。茎のずいは太いので、柔軟な組織をかみそりで切るときの支えに使われます。また、花の粉末を湯でねった薬は骨折の治療に効果があるので、接骨木といわれます。


ツ ゲ (古名 つげ)

 

君なくは 何(な)そ身装(みよそ)はむ くしげなる

黄楊(つげ)のをぐしも 取らむとも思はず  播磨娘子(はりまのをとめ)

(万葉集巻9−1777)

 暖地の山地に生えるツゲ科の常緑小高木です。2枚の葉は向かい合ってつき、葉のふちには切れ込みがなく、表面はなめらかで光沢があります。春に淡黄色の小花をつけます。材はかたくきめこまかいので、くしや印鑑(いんかん)に使われます。葉が層をなし、つぎつぎとついているから,次(つ)ぐが変化して、ツゲと呼ばれるようになったと言われています。


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