5月の花


ヤマツツジ(古名 つつじ)

 

山越えて 遠津の浜の 石つつじ

わが来るまでに 含(ふふ)みてあり待て (作者 不詳 万葉集巻7-1188)

 石(いわ)つつじは、各地の山野に自生する低木のヤマツツジで、ツツジ科の植物です。初夏に、赤色の美しい花を多く咲かせます。


 ヤマツツジ(古名 つつじ)

 

風速(かざばや)の 美保の浦みの 白つつじ

見れどもさぶし 亡き人思へば (河辺宮人 万葉集巻3-434

 白つつじは、各地の山地に生える白花系のヤマツツジで、ツツジ科の植物です。初夏には、枝先に白色の花が開きます。


フ  ジ(古名 ふぢ)

 

藤波(ふぢなみ)の 花は盛りに なりにけり

平城(なら)の京(みやこ)を 思ほすや君  (大伴四綱 万葉集巻3-330

 各地の山野に生えていますが、観賞用として庭園に植えられています。つる性のマメ科の落葉低木です。茎は長く伸びて分枝し、右巻きに他のものに巻きつきます。四月頃、紫色の花を多数つけた花穂を垂れます。果実は、大きく平たい豆果になる。花は白花の場合もあります。茎が左巻きに巻くのはヤマフジです。


ヤマブキ(古名 やまぶき)

 

山吹は 日に日に咲きぬ 愛(うるは)しと

(あ)が思(も)ふ君は しくしく思ほゆ  (作者不詳 万葉集巻17-3974

  山間の谷川沿いの湿った所に多いですが、庭園にも栽培されるバラ科の落葉低木です。春に枝の先端にひとつの黄色の花をつけますが、八重咲きの場合もあります。ヤマブキは山振(やまふき)の意味で、枝が弱々しく風に吹かれてゆれやすいからです。


ネザサ(古名 ささ)

小竹(ささ)の葉は み山もさやに 乱るとも

われは妹(いも)思ふ 別れ来ぬれば (柿本人麿 巻2−133)

  山野に群生する小形の竹でイネ科のものです。地下茎は強く地中を横に伸びます。新しく出る茎は枝分かれしないが、古い茎は節から数本の枝を出します。万葉集に出ているササは、ネザサの他に、クマザサ、ヤダケ、メダケなど小形のタケの総称です。


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