9月の花

ヤマハギ(古名はぎ)

  

わが屋戸(やど)の 一群萩(ひとむらはぎ)を 思ふ児(こ)

見せずほとほと 散らしつるかも  (大伴家持 万葉集巻8-1565)

 山野に広く分布している低木で、マメ科の植物です。秋には、淡紅紫色の小さい花を穂状につけます。今から一千年余り前に歌によまれた秋の七草の一つです。


フジバカマ(古名ふぢばかま)

 

萩の花 尾花葛花(おばなくずばな) なでしこの花

をみなへし またふぢばかま あさがほの花  (山上憶良 万葉集巻8-1538

 野原に生えるキク科の草本です。鑑賞のため庭園に植えられることもあります。秋に茎先に淡紅紫の花を咲かせます。秋の七草の一つです。


ナンバンギセル(古名 おもひぐさ)

今年の様子はこちら

 

道の辺の 尾花が下の 思ひ草

今さらになど 物か思はむ  (作者未詳 万葉集巻10-2270)

 ススキ、ミョウガ、サトウキビなどの根に寄生するハマウツボ科の草本です。茎はごく短くほとんど地上に出ず、赤褐色でりん片状の小さい葉が互生します。秋に葉のわきから長い花柄を直立し、頂きに淡紫色の大形の花を開きます。今年は冷夏で早く開花し、8月中旬に万葉植物園の入り口のススキ付近に、80本ほど見られ、散策の人達の目を楽しませてくれています。全体の形がタバコを吸う時に使うキセル(パイプ)に似ています。


ク ズ(古名 くず)

大崎の 荒磯(ありそ)の渡(わたり) 延(は)ふくずの

行方(ゆくへ)も無くや 恋ひ渡りなむ (作者未詳 万葉集巻12-3072)

 各地の山野に普通に生える大形のマメ科のつる状草本です。茎は非常に長く伸びて10m以上になることもあります。葉は大きく長い葉柄のある3出複葉です。秋に紫色の花を密集してつけ、下の方から順に開花します。根は肥大して薬用にしたり、くず粉にして食用にしたりします。


ヨメナ(古名 うはぎ)

 春日野(かすがの)に 煙立つ見ゆ 少女(をとめ)らし

 春野のうはぎ 採(つ)みて煮らしも (作者未詳 巻10−1879)

   各地の原野の多少湿気のあるところによく見られるキク科の草本です。茎は高さが30〜100cmで,地下茎が伸びてよく繁殖します。夏から秋にかけて,細い花茎の先に紫色のかわいい花が咲きます。ヨメナという名は、春の若芽を食べると,肌がつやつやするということで、若い女性に好まれたことからきているようです。 


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